2011年08月20日

カベトリオ -手と壁のための音楽- Op.97

編成:壁 三重奏
使用楽器:大きな壁 手

この曲は2011年8月に作曲した三重奏である。同年9月に開催された WINDS CAFE 177「小さな音の小さな音楽会 -渡邉達弘・小物楽器作品集-」に於いて服部恵・正木恵子・渡邉達弘によって初演された。会場“TORIA GALLERY”に初めて訪れた際、ギャラリーとしては当然のことなのかも知れないが、その壁の白さに魅了された。そしてこの壁を使って音楽をしたいと思っていて、自分の演奏家を開催する機会に恵まれて今回作曲したのがこの曲である。演奏者は壁に楽譜を張り付け、お客さんに背を向ける形で演奏する。記譜の解説はスコアの最終ページに、演奏指示は楽譜に記載されているが、分からない場合は YouTube に初演時の演奏動画があるのでそちらを参考にしていただきたい。鍵盤ハーモニカのモスキートーンは、最高音の鍵盤を本当に少しだけ押して強く息を吹き込むと得られる超音波のような音である。お菓子を勧めたり蚊を叩くシーンは、4小節で 記譜されているが時間的にはその場で必要と思われる時間を要して構わない。
 先日、初演動画のリンクサイトに「ついに打楽器を持たなくなった。壁三重奏」とコメントをして下さった方がいてほくそ笑んでしまった。音楽に楽器は必要だけれど、必ずしもそれがないと成り立たない訳ではない。それよりも、なんでも音にして楽しむ・面白がることが音楽の根源の一つだと思うし、それを探求できることが打楽器奏者の特権だとも思っている。




初演:2011年09月25日(於:WINDS CAFE「小さな音の小さな音楽会」)
演奏:服部恵+正木恵子+渡邉達弘
譜面販売:bluemallet


ラベル:Percussion Ensemble
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2011年08月17日

すず むし -糸のついた二つの鈴のための- Op.96

編成:鈴 二重奏
使用楽器:音程の異なる鈴(2つ)

 この曲は2011年8月に作曲した曲である。音高の異なる2つの教育用に用いられる鈴を使用し、楽器に糸をつけてヨーヨーのようにぶら提げられるようにしておくこと。また、奏者はポケットなどにハサミを用意して演奏に臨むことを求める。
 楽曲は「す・ず・む・し」の4つの音から2つの音を選ぶことで作られる言葉を、鈴を演奏することで表現する(例:「むし」「すし」)という単純なアイデアで構成されている。序盤の「むし」では、鈴で虫を模倣するように演奏するが、2 回目の「むし」では鈴自体を虫と見立てて、茂みの中をカサカサ動くように奏する。最後の「むし」は実際には音が出なくても構わないと思っている。音よりも飼っている鈴虫が鳴くのをじっと待つような雰囲気を演奏して欲しい。最後の「しす」は声を合わせ、線香花火がぽとりと落ちるようにハサミで糸を切って事切れる様を表現する。切れた瞬間や鈴が地面に落ちたときの音が、「すず むし」の断末魔の声となる。
 雰囲気が大切な曲となるが、特に D の「むし」から E の「すし」への移り変わりで発せられる「へい!らしゃい!」という声は威勢よいものであって欲しい。そうすることで生まれるギャップが大きければ大きいほど、終曲の“死”の表現がより神秘的なものになると考えている。全体的にアホな楽曲だが、だからこそそれぞれのシーンのイメージを持って演奏を楽しんで欲しいと思う。




初演:2011年09月25日(於:WINDS CAFE「小さな音の小さな音楽会」)
演奏:正木恵子+渡邉達弘
譜面販売:bluemallet
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2011年08月13日

エニルオ医学試験 -逆行のTambourine- Op.95

編成:タンバリンニ重奏
使用楽器:2 Tamborins

 この曲は 2011 年 8 月に作曲したタンバリン二重奏である。
同年 9 月に開催された「もんてん小学校楽器大行進」にて服部恵・渡邉達弘により初演され、さらに 9 月 25 日の WINDS CAFE 177「小さな音の小さな音楽会-渡邉達弘・小物楽器作品集-」で再演された。
奏者はそれぞれに 1 つのタンバリンを使用して演奏する。記譜や演奏法については 譜面に詳細に書かれているほか、YouTube で演奏動画を見ることもできる。
曲は断片的なテーマを逆行、反行、さらに楽器自体の反転など、「ひっくり返る」ことがテーマになっている。楽譜的にも線対称や点対称の音符を見つけることができると思う。
タイトルもその構造を利用し、“TAMBOURINE”というアルファベットを後ろからローマ字読みして「エニルオ」とし、残りの変換困難な”BMAT”は”The BioMedical Admissions Test”という意味があることを突き止め、その日本語訳である「医学試験」としたものである。
 コインなどであれば“裏の裏は表“となるであろうが、一般的にはやっぱり裏の裏は“ウラウラ”だと思う。タンバリンの裏の裏を裏返していくと、その音色の多さに驚かされる。裏は裏に甘んじず、表舞台に立つべきだ。





初演:2011年09月11日(於:門仲天井ホール)
演奏:服部恵+渡邉達弘
譜面販売:bluemallet
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